メンタルヘルス支援のアウトリーチ不足 ― 窓口で待つ支援の限界

既存の相談支援の多くは「窓口で待つ」形式であり、最も支援を必要とする人ほど窓口にたどり着けないという限界を抱えています。自殺総合対策大綱が明記するとおり「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」であり、雇用・所得・地域の各問題は最終的に個人のこころの健康の危機として現場に現れます。 私たちが実践する「現場同行型支援」は、窓口にたどり着けない人と制度・医療をつなぐアウトリーチの一形態です。当事者の住まいや職場、医療機関へ実際に足を運び、制度の橋渡しと権利擁護を行うこの手法は、検証結果でその有効性が示唆されています。 しかし、このような伴走型支援はまだ個別の民間事業に依存しており、全国規模で体系化・制度化されていません。重層的支援体制整備事業(社会福祉法106条の4)の枠組みに、民間の伴走型支援を明確に位置づけ、公的な評価基準と財源スキームを設計することを提案します。 あわせて、診療報酬上の評価の見直しも不可欠です。認知行動療法や心理検査の点数を実際の人件費・所要時間に見合う水準へ引き上げ、「時間をかけて向き合うほど損をする」構造を改めることで、医療と社会支援の両輪が実現します。